【人参サポニン代謝物は、ナチュラルキラー細胞を活性化する】
前回書いたような免疫系に対するサポニン代謝物の効果を検証するため、次のようなモデルの実験を行いました。
悪性メラノーマ細胞をマウスの尾静脈に注入し、皮膚ガンが肺に転移するモデルを作りました。
ガンを移植されたマウスの肺では、皮膚ガンが転移を始めます。
マウスのなかのあるグループには、ガン細胞を移植する前にあらかじめ、ナチュラルキラー細胞を除去するアンチアシアロGM1という薬物を注射しました。
つまりこのグループのマウスは、ナチュラルキラー細胞が欠如しています。
また、あるグループのマウスには、マクロファージを除去する薬物、2-クロロアデノシンを注射しました。
つまり、このグループのマウスは、マクロファージが欠如しています。
また、無処置群を含めた3つのグループのマウスに対して、ガン細胞を移植する前にサポニン代謝物M4を5日間経口投与しました。
このようにして種々のケースを作ったうえで、ガン細胞を移植した後、14日目にマウスから肺を取り出し、皮膚がんの転移数を計測しました。
その結果が写真です。
グラフから分かるように、アンチアシアロGM1を投与されたマウス(ナチュラルキラー細胞なし)の肺転移数は、されなかったマウス(ナチュラルキラー細胞あり)の5倍になっています。
あるいは、2-クロロアデノシンを投与された場合、肺転移数は1.5倍増加しています。
このことから、ガン細胞転移の抑制には、ナチュラルキラー細胞が深くかかわっていることが分かります。
また、サポニン代謝物M4を1ミリグラム投与した場合は、無処置群は50%、アンチアシアロGM1を投与した群(ナチュラルキラー細胞なし)は20%、2-クロロアデノシンを投与した群(マクロファージなし)は40%抑制されました。
ナチュラルキラー細胞なし(マクロファージあり)の場合より、マクロファージなし(ナチュラルキラー細胞あり)の場合の方が、顕著に抑制されたということは、サポニン代謝物M4は、ナチュラルキラー細胞に対して、ガン細胞障害活性(ナチュラルキラー活性)を増強したと考えられます。
(「高麗人参生活術」編著:薬学博士 長谷川秀夫 発行:NPO法人日本サプリメント臨床研究会 から引用)
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